数年前どこかでその写真を目にしてから、
いつか行けたらどんなに素敵だろうと思っていた場所があります。
それがチヴィタ・ディ・バーニョレージョです。
チヴィタは断崖絶壁の上にある陸の孤島のような町で、
崩落や風化の危険に晒されていることから「死にゆく町」と呼ばれています。
マルタ滞在中に一度行こうと思い行き方を調べたことがあったのですが、
調べれば調べるほど道のりが面倒くさそう...。
ということで一旦保留にしていたものの、
やっぱり今行かなきゃ後悔しそうだと思い改めて計画したのでした。
そして時期をずらしたのが功を奏し、
奇跡的なタイミングでローマに住む友達が付き添ってくれる事になったのです。
なんという幸運...!
チヴィタにはローマから列車でまずオルヴィエートまで行き、
オルヴィエートから今度はバスに乗ってバーニョレージョまで行き、
そこからまたローカルバスに乗ってチヴィタの麓まで行くという、
スムーズに乗り継いでも約3時間の長い長い道のりです。
しかもオルヴィエートからのバスは時刻表が手書きのものしかなく、
本数はわずかでよく時間が変更になるらしいと聞いていたので、
そこが一番の不安要素でした。
実際にバスの時刻表は、
駅の隣のバールのおばさんが持っていたボロい手書きのものでした。
そして数分待ってバスはやって来ましたが、
どうやら違うバスらしくそのまましばらく待つ事に。
しかしドライバーの会話を聞いていた友達が再度確認すると、
このバスに変更になったからこれに乗れと言われ、
なんとか無事にバスに乗ることができたのでした。
そしてついに自分の目でチヴィタを見た時、
胸の奥の方から感動がぐわーっ!と押し寄せました。
ついに、ついにここに来た...と思いました。
麓からチヴィタに入る唯一の細く長い橋を渡り町の中に入ると、
そこはまるで中世から時がぱったりと止まっているかのようでした。
30分程度でぐるっと回れてしまうくらい小さな町には、
慎ましやかな教会が一つと数件のショップやホテルがあり、
観光客はちらほらいるものの静かで落ち着いた雰囲気でした。
石畳の細い路地の行き止まりに石壁で囲まれた小さな庭があり、
実をつけたサクランボの木が生えている、
そんな風景をよく覚えています。
帰りの最終バスに乗るべくチヴィタを後にする時、
橋から振り返ってその「死にゆく」姿を見ながら、
100年後はもしかしたらもうなくなっているのかもな、
なんて思いながら「バイバーイ!チヴィタ!」と二人でお別れを言いました。
そして帰りもまた延々バスに揺られ、
オルヴィエートでビールを飲みながら列車を1時間半待ち、
隣のテーブルのなぜか靴下を大量に持っているナポリ人たちに、
いい靴下があるから買わない?と絡まれたりしつつ、
無事にローマに帰って来たのは夜の22:00近くでした。
うだる暑さの中朝の9:00から私に付き合い、
本当にたくさん助けてくれた友達には感謝が尽きません。
一人で来ていたら、きっと全く違った風景だったと思います。
今思い出しても夢のような、
信じられないくらい楽しいローマ滞在でした。
Grazie mille!
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